平成27年2月14日
平成27年2月14日に、板橋区立文化会館にて、「平成26年度PTA研究大会」が、1行われました。参加者は、各校のPTA関係者や校長会、教育委員会など110名が参加。教育問題対策委員の平成26年度の年間テーマ「学校と保護者と地域のよりよい関係」にもとづき、活発な意見交換をしていただきました。
第一部の講演では、スポーツ推進委員協議会会長の三枝節夫氏、いたばし総合ボランティアセンター所長の篠原恵氏、小P連OB会副会長の島村恵子氏の3名にお話いただきました。
第二部のグループディスカッションでは、主に地域の関係性のなかでのPTA活動のメリットについて話をしていただきました。
【1】講演
講師の皆様は、いずれも小学校のPTA会長を経験されたのち、地域の役割やさまざまなボランティア活動に精力的にかかわっていらっしゃいます。卒業してからも継続して地域の立場から学校にかかわっているPTAの先輩たちから、長期的に見たPTA活動のメリットや意義、楽しみなどをお話いただきました。
(1)「PTA活動に関わるメリット~地域から学校への長期的な視点から」三枝節夫氏(スポーツ推進委員協議会会長)
三枝節夫氏は、「学校は地域に溶け込んで活動し、PTAも地域に溶け込んでいく必要がある。PTAの側から発言していくと地域コミュニティも発展する。PTA活動のやりがいは子どもの笑顔がかえってくること。これからも、地域の中に溶け込んでいって、さらにPTA活動を発展させて欲しい」と述べました。
(2)篠原恵氏(いたばし総合ボランティアセンター所長)
「PTAから地域活動へ、自分の暮らしは自分で創る!~子どもの未来と自分の老後のために」
篠原恵氏は、「池田小事件をきっかけに、自分の子どもだけを良くしようとしても限界があることがわかった。地域に入らないといけないと思ったことが、PTA活動、そしてボランティア活動に携わるきっかけ。地域の中で、どの子も大切にしていけば、事件を起こすような人も生まれなかったかもしれない。子どもが大人になって地域に戻ってきて欲しいと考えて活動している。
子供向けのキッズボランティアもある。今、子どもにとって、“よい大人”のロールモデルがすくないので、ボランティア活動を通じて“よい大人”にたくさん触れ合ってほしい。「ありがとう」と言われる体験をたくさんしてほしい」と述べました。
(3)島村恵子氏(小P連OB会副会長)
「PTA・地域活動から、子どもたちに伝えるボランティア活動について」
島村恵子氏は、「PTAが関わっている子どもはその地域で成長していく。小学生のうちは、親の目が届くが、成長にしたがって活動範囲が広くなると目配りも難しくなる。そのため、親としては子どもの成長に気づくための「アンテナ」をはって欲しい。
また子ども自身の判断力を磨くことも大切。親から離れて住んでいる地域の外に行った時、良いことも悪いことも、自分で判断できないといけない。その判断力を磨くよい機会がボランティアだと思う。
子どもは親の背中を見る。いくつになっても子どもから必要とされる親になりたいと思う」と述べました。
【2】グループディスカッション
第一部の講演をふまえて、PTA活動を楽しくし、学校や地域との関係性をより深くするためにはどのようにすればよいのか、率直なご意見を交わしていただきました。
以下ディスカッションの内容を抜粋します。
・地域に関わらなくても子育てはできるが、PTAに関わることで、同世代の子どもをもつ親同士や地域の方々とのつながりが広がり、自分の世界が広がった。
・PTA活動によって、学校以外での人との出会いがあったり、地域の方々との関係が深くなることで「よそ者感」がなくなり仲良くなることができた。
・イベントや寺子屋、お茶会などを通じて、地域とのつながりを深められる。
・PTA役員をやることによって、たくさんの地域の方に見守って頂いていることがわかった。
・PTAに関わることで、子どもたちへの見方、対応の仕方が変わり、声をかけることが増えた。子どもに声をかけられる喜びを感じる。
・PTA活動を通じて、学校のことがよくわかった。先生や保護者の方と距離が縮まった。
・学校でPTA活動をしている親を見ることは、子どもにとってもうれしいこと。
・PTAと町会との交流を機会にパトロールのアイディアが生まれた。
・地域や学校のつながりでは、商店街や児童館の先生ともつながるとよい。児童館の先生はいろいろなノウハウを持っている。例えば、上板橋では商店街が協力して児童館で0?3歳対象のハロウィンの催しをしているが、この際、PTAの方に交通安全の係として旗をもって立ってもらっている。
・自分たちの学校だけで活動するのは難しい。青健や町会と協力し合い、お互いにメリットのある取り組みをすることが大事。
・「おやじの会」があると学校内の活動が広がる。「子どもと一緒に楽しもう」というところからスタートするとよい。参加できる人が参加できるときに活動するという「ゆるい集まり」がよい。
【3】講評
別府昭夫教育委員長は、「学校も地域のために、地域も学校のために、先生も地域の行事に来てもらえるとうれしい。また地域から見ると、学校に協力するには、PTAを中心とした保護者が熱心であることが必要だ」と述べました。
続いて、野崎修校長会会長は、「小学校は、子どもの成長にとってよい時期に立ち会える場所。PTA活動の中で視野が広がり、先生も保護者も成長する。子どもも、自分の親が、他の保護者や先生とどのように関わっているかを見ている。
高二小では保護者に呼びかけたところ、運動会の自転車の迷惑駐車がゼロになった。呼びかけ方で、保護者も変わる。
今後は、子どもとの関わりについて苦労している保護者もいるので、どのように声がけするのかが課題だ」と述べました。