板橋区立小学校PTA連合会

下村文部科学大臣との教育懇談会

                      2014年3月10日

板橋区立小学校PTA連合会

教育問題対策員会

MW4E9870 さる3月10日(月)、下村文部科学大臣と、板橋区立小学校PTA連合会の教育問題対策委員会が、様々な教育問題についてディスカッションを行うお時間を頂きました。森小P連会長による団体紹介の後、下村文部科学大臣が用意された「主な文部科学行政施策(44項目)」に基づき、小学校に関わる分野について文部科学行政の概略説明がなされ、その後、当委員会の廣田委員長司会のもと、自由討議が実施されました。以下はその要約抜粋です。

●教育問題対策委員(①土曜日授業について)

土曜日授業の今後の方向感について、一部には各地域で枠組みが整いつつある地域主催の活動等(寺子屋・スポーツ団体・ボランティアによる教育事業)と混乱しないでしょうか。

■下村文部科学大臣:

土曜日授業は学校教育法施行規則において、各自治体の教育委員会が必要と認めた場合はこれを実施することができるとしており、あくまで選択肢の多様化と捉えている。子供の多面的な教育の充実の観点からは大いに推進してほしいが、決して強制してできる問題ではない。従って、地域のボランティア団体等の協力が重要であり、その一例として大分県豊後高田市の取り組みなども自分も視察している。極論すれば、教科授業を行う子もいればスポーツを楽しむ子もあり得るし、もしくは民間の塾へ通う子供がいるケースも出で来ると思う。あくまで教育機会の選択肢を広げるのが大きな狙いと思ってほしい。

 ●教育問題対策委員(②教育委員会改革について)

 現状の教育委員会制度については、様々な意見が出ているように、決して今の状況がベストとは考えておりませんが、大臣としては何が問題でどのように変えていきたいと思っていますか。

■下村文部科学大臣:

極端な意見では教育委員会そのものを無くせば良いといった意見があるが、教育の中立性を担保しつつベストよりもベターを考えるべきである。一番の問題は制度上の欠陥であり、大津市で起きた「いじめ」と「自殺」の問題などを見ても、いわゆる形式主義、官僚主義、無責任体質がはびこっており、それに対して首長が全く介入できないという現実の問題ある。役人による事務局が作った方針を、名誉職的な教育委員が追認するような組織運営では、組織防衛が先に立ち、何も大きな改革や改善は見込めない。ここの制度を抜本的に変更することが重要だと思う。

 ●教育問題対策委員(③学校教育の充実について)

6:3:3制の見直しや、英語教育の充実、教員の資質能力の向上、教育バウチャー制度の導入等、様々な問題についてはどのように考えていますか。

■下村文部科学大臣:

まず、知っておいてほしいことだが、我が国の教育予算はGDPの約3.8%となっている。これはOECD加盟諸国の平均約5.8%と大きな隔たりがある。この2%の差は日本で言えば約10兆円という数字であり、幼児教育から高等教育も含めて全額無償化も実現可能な数字である。自分としては早くOECD諸国並みの教育予算を実現させ、教育無償化により教育を受ける機会の平等を実現したい。また、研究機関の多くから、不登校児の多くに発達障害等の児童が多いとの報告もある。これも機会の平等性という点から特別支援教育の充実は必要と考えている。

英語教育については5年後には小学校3年生から英語への取り組みが始まり、5・6年生には週3回程度の英語の学科授業を始める方向性が出ている。ただ、決して英語が喋れればよいということではなく、自分たちの国の歴史や文化をよく理解し、それを国際舞台で堂々と話せる人材の育成が目標となっている。

 道徳教育については来年度から「私たちの道徳」という教材が使われる(文部科学省HPに添付ファイル有り)、これについては今後、先生たちがどのように教えていくかが課題になると思う。なお、6:3:3の現行学制については子供たちの心身の発達が早まっていることを踏まえ、変更されてしかるべきであるが、一方で、教育の無償化をどこまで認めるかという問題と合わせ、検討していく事項だと考えている。教育バウチャー制度も利害関係者が多く、簡単に進められることではない。先ずは教育の無償化が最優先事項と考えている。

教員の質の向上については、教員免許を4年制ではなく6年制の修士に限るべきとの意見もあるが、一方で教員になることに強い意欲を持っている学生も多く存在しているのも事実であり、今後の土曜日授業への積極的なボランティア参加により、教育実習の充実など、今でも出来ることは大いにあると思う。PTAの皆さんも、そうした点などで大いに声をあげてもらえればと思う。

●教育問題対策委員(④特別支援学校の存在について)

 都内23区でも少なくなりましたが、板橋区には「喘息、肥満、偏食の解消」を目的とした特別支援学校の「天津わかしお学校」が鴨川市にあります。板橋小P連は2年連続視察研修を行い、時代の変化に伴い運営体制を変更すべき点は検討事項として、このようなかけがえのない施設は今後とも必要ではないかと考えています。大臣のご感想は。

■下村文部科学大臣:

何度も申し上げているが、教育の機会の平等、選択肢の確保という点で重要な施設であれば、新しい目で見てその活用方法を検討していくのは決して悪くはないと思う。

●教育問題対策委員(⑤PTA及びPTA会長についてのイメージ)

世間一般ではPTAに対するイメージは良くないと自分たちでは思っています。大臣のご意見は。

■下村文部科学大臣:

PTA会長は子供のためのボランティアであり、本当に良くやっている、大変だろうと思っているが、一方で、「いじめ」や「体罰」などの問題が学校で起きたとき、普段は学校サイドに立っていると思われている団体が、突然、保護者と共に学校を糾弾する圧力団体になってしまっているようなイメージがあり、これが宜しくないのではないか。また、皆さんは保護者と学校の架け橋でもあるので、会長一人が頑張らないで、一緒に進めていくというスタンスが良いのでないか。

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