副題 栄養学的理性批判ミシェル・オンフレイ Michel Onfray 著幸田 礼雅 訳
原題 Le Ventre des Philosophes
人にはそれぞれ好き嫌いがある。 まして食事となると人には言えない、あるいは、それぞれ、その人なりのえり好みがあるのは既知なことである。 まして、とかく孤高の人と比喩される哲学者たちの食事や料理に対する批判は想像を絶するものがあった。 「徳」が人生最大の目的だと言うディオゲネスの偏食と奇食。 「純粋理性批判」や「二律背反」を説き、ドイツ哲学の祖といわれたエマニュエル・カントの酒好き、甲殻類や貝類が大嫌いだったサルトル等々 哲学者と「食」にまつわる数々のエピソードを通していかに思想と人間の三大欲求の一つが深く結びついているかを著者の批評で綴ったエッセイである。 内容はさておき、古典的ではあるが、世界中にこれほど料理や酒の種類があることに驚かされる。 また、難解な哲学者たちの生の文章を日本語にする訳者の苦労も偲ばれる一冊だ。
上板橋小 浅川 英治