会長の100冊読書（18）『回廊にて』

回廊にて

辻　邦夫　

高校入試に向けた中学時の学習塾で、現代国語の超難問長文読解問題に引用されていた作品。
満開のバラの生垣をバックに主人公が生き生きとして内面を吐露する一場面は当時の私には非常に印象的だったので、文庫本を買って終いまで読んだ始めての純文学作品だった。　　練りこまれた格調高い文章で非常に重量感があるが、澄み切った地中海を連想させる描写はまるで映画を見ているかのようである。　近代文学賞最後の受賞作品で著者の処女作でもある。

 

上板橋小　浅川　英治