板橋区立小学校PTA連合会

会長の100冊読書(102)『敗れざる者たち』

『敗れざる者たち』 沢木耕太郎

まずは『敗れざる者たち』というタイトルに心惹かれますね。
この本の内容は短編集でボクシング、野球、マラソン等のスポーツ界のかってのスーパスター達を描いたノンフィクションです。
中でも「三人の三塁手」が一番好きな作品です。皆さんは長嶋茂雄が読売巨人軍に入団した時にもう二人三塁手がいた事を御存じですか?
当時大学野球で東の長嶋茂雄(立教大)西の難波昭二郎(関大)でプロ野球界も注目されていた二人と先に巨人軍に入団していた土屋正孝(松本深志高)の三人で三塁を争っていました。ご存知の通り引退までの17年間不動の四番・三塁手長嶋で活躍することになります。
 この本のタイトル『敗れざる者たち』ですが、決して「敗れざる者」≒「勝者」という意味ではありません。おそらく作者が言いたかったのは社会の目からは一見「敗者」と映った者たちが決して敗者などではなくかといって勝者でも無く彼等が敗れるという事に対して最後まで戦い続けた、つまり『敗れざる者たち』という視点で語りかったのだと思います。

志村小  朝倉 利彦

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